はじめに

介護福祉士試験の制度が大きく変わろうとしています。2025年度からの制度変更により、受験者にとってどのような影響があるのでしょうか？
本記事では、介護福祉士試験の制度変更の詳細やその背景、今後の介護業界に与える影響について徹底的に解説します。また、実際に現場で働く介護士の声も紹介し、制度変更への期待と課題を探ります。

介護福祉士試験の現状と変遷

第36回介護福祉士試験の結果と受験者数の推移

第36回介護福祉士試験の結果が発表されました。2023年の試験では、受験者数が74万5,195人、合格者が61万7,147人でした。
受験者数は減少傾向にあり、これに伴い合格者数も減少しています。特に、近年では石川県内の試験会場が震災で使用できなくなったことも影響しており、さらなる減少が予測されています。

受験者数の減少と合格者数の推移

2016年度から、実務経験ルートの要件として「実務者研修の修了」が加わり、受験者数が一気に半減しました。
その後、受験者数は一時的に増加しましたが、現在は再び減少傾向にあります。今後、さらに受験者数が減少する場合、介護人材不足が深刻化する可能性が高まります。

介護福祉士試験の制度変更の内容

一部合格制度の導入

厚生労働省の有識者検討会では、介護福祉士試験の見直しに向けて「一部合格制度」の導入を提言しました。
具体的には、不合格だった受験者に対して、一定以上の得点を取った科目については再受験時に免除するという制度です。
この新制度により、働きながら資格取得を目指す人々にとって、受験の負担が軽減されることが期待されています。

2025年度から適用される変更内容

厚生労働省は、早ければ2025年度の試験からこの新制度を適用する方針を示しています。
これにより、試験を複数の分野に分け、合否を判定する仕組みが導入されます。また、受験者は全科目の総得点で合否を出す方法と、一部免除を利用する方法のいずれかを選択できるようになります。

制度変更の背景と目的

介護人材不足の深刻化

介護福祉士は介護現場で中心的な役割を担うため、介護人材の確保は重要な課題です。
日本の高齢化が進む中、介護ニーズが増加している一方で、介護現場で働く人材の確保がますます困難になっています。
特に、介護福祉士試験の受験者の8割以上が現場で働く人であり、受験機会が限られていることが問題視されています。

外国人労働者の役割と受験制度の影響

日本国内での介護人材不足を補うため、外国人労働者の役割も拡大しています。介護分野で働く外国人技能実習生は、国家試験の受験要件である3年以上の就労研修を満たすことで、試験を受けることができます。
また、専門学校で介護を学ぶ外国人留学生も増加しており、彼らの存在が介護業界に与える影響は大きいです。

現場の声：介護福祉士試験の課題と期待

受験者の意見と改善への期待

現場からは「試験の合格率が高すぎる」「試験の難易度を下げることで資格の価値が下がる」といった意見も多く寄せられています。
特に、現場で働く介護士たちからは、受験制度の改革よりも給与や待遇の改善を求める声が多く聞かれます。

資格取得の実情と職場環境の改善

「介護福祉士の資格を取得しても給料があまり上がらない」「資格の有無に関係なく、やっていることに違いがない」といった現場の声もあり、資格取得へのモチベーション低下が懸念されています。
資格制度の見直しだけでなく、介護現場での待遇改善が重要な課題とされています。

まとめ

介護福祉士試験の制度変更は、介護業界に大きな影響を与えると考えられます。
特に、「一部合格制度」の導入により、働きながら資格取得を目指す受験者にとっては受験の負担が軽減されることが期待されます。
しかし、現場からは待遇改善を求める声も多く、制度変更だけでは不十分であるという意見もあります。今後の介護業界の動向に注目が集まります。